サイバーセキュリティお助け隊サービスとは?費用・補助金・新類型

()は、中小企業向けに、相談窓口・異常の監視・緊急時の駆け付け・簡易サイバー保険をひとまとめにして安く提供する、民間の事業者のサービスです。

商工会議所や取引のあるIT事業者から案内が届いた、取引先からの★を求められて国の支援を探している、という方も多いでしょう。には、今ある既存のと、の★3・★4を取るための「新類型」の2つがあり、新類型は今、実証事業の段階です。

既存のが何をしてくれて、いくらかかり、補助金をどう使えるか、新類型とは何かを順に整理し、最後に「どちらが自社に合うか」を考えます。

サイバーセキュリティお助け隊サービスとは

とは、中小企業がに対処するために欠かせないサービスをワンパッケージにまとめた、民間の事業者のサービスです。()がサービスの基準を定め、基準を満たしたサービスに「マーク」の使用を認める制度で、2021年春に始まりました[1]。

契約の相手はではなく、サービスを提供する民間の事業者です。の名前が入った案内を見ても、がサービスを売っているわけではありません。登録されたサービスは、基準に合っているかの更新審査を2年ごとに受けます[3]。導入した企業は、2026年3月末時点で累計約10,900社です[10]。

は、セキュリティ対策について「何をしたらよいか分からない」「セキュリティにコストをかけられない」という悩みを抱える中小企業への支援策です[8]。例えば、専任のIT担当がいない会社が、監視と、何かあったときに頼れる窓口をまとめて用意する、という使い方ができます。

には1類と2類があります。基本のサービスが1類で、2類は1類をもとに、監視の強化や定期的なコンサルティングなどを足した類型として2024年に作られました[4]。この記事で「費用の上限」と言うときは、1類のことを指します。

何をしてくれる?4つのサービス

がしてくれることは、相談窓口・異常の監視・緊急時の駆け付け・簡易サイバー保険の4つで、原則として1つの契約で受けられます。サービス基準で決まっている中身は次のとおりです[3]。

サービス中身
相談窓口サービスの内容・価格・申し込み方、導入するときの機器の設置方法、アラートの意味などの技術的な質問、価格の相談を、1か所で受け付ける
異常の監視ネットワークか端末(パソコンやサーバー)を24時間見守り、攻撃を検知して知らせる。重大なものはすぐに(60分以内が目標)、防御できたものや対応のいらないアラートは週1回のレポートなどで知らせる
緊急時の駆け付け頼まれたら、指定の場所に技術者を派遣して対応を助ける(合意すればリモートでも可)。少なくとも年1回(簡易サイバー保険を使う場合を含む)は、利用者の費用負担なしで受けられる(必要な諸経費を除く)
簡易サイバー保険事故への対応で急に出る費用を補償する保険が付く。補償の中身と、自己負担が出る場合は契約に書き、わかりやすい説明資料を用意する
お助け隊の4つのサービスを1つの箱にまとめた図。相談窓口(サービスや導入の質問を1か所で受ける)、異常の監視(24時間見守り、攻撃を知らせる)、緊急時の駆け付け(技術者を派遣。少なくとも年1回は費用負担なし)、簡易サイバー保険(事故対応で急に出る費用を補償)。原則1つの契約で受けられる
お助け隊の4つのサービス(サービス基準にもとづく)

駆け付けの費用負担がないのは「少なくとも年1回」で、何度でも無料という決まりではありません。保険は、少なくとも初動対応(駆け付けなど)の費用を補償するもので、場合によっては利用者に自己負担が出ることもあり得ます[3][5]。回数や補償の限度額はサービスごとに違うため、申し込む前に契約書と説明資料で確かめましょう。サイバー保険の補償の中身や、見積りで比べる項目は中小企業のサイバー保険にまとめています。

また、ITやセキュリティの専門知識がない会社でも導入・運用できる工夫が求められています。のFAQの例では、機器の設置方法を紹介する動画、数回のクリックで終わるインストール、専用の問い合わせ窓口、利用者ごとのダッシュボードなどが挙がっています。

監視のタイプは3つ

異常の監視は、ネットワーク監視・端末監視・その2つの併用の3つのタイプから選びます[2]。

タイプ仕組み特徴
ネットワーク監視社外と社内のネットワークの間にUTM(複数の防御機能をまとめた装置)などを置き、社内ネットワークをまとめて見るパソコン側の設定作業が要らない
端末監視社員が使う各パソコンにEDR(端末の不審な動きを見つけて対処するソフト)などを入れ、端末ごとの不審な動きを検知する端末を社外の仕事に持ち出しても見守れる
併用ネットワーク監視と端末監視の両方を入れる何重にも守る(多層防御)

選ぶときは、パソコンをどこで使うかから考えると選びやすくなります。例えば、社内のパソコンだけで仕事が完結する事務所ならネットワーク監視、営業担当がノートパソコンを持ち歩く会社なら端末監視、という考え方です。タイプによって費用の上限も変わります。

いくらかかる?費用の上限

既存のは有料です。1類の月額は、ネットワーク監視なら1万円、端末監視なら端末1台あたり2,000円(いずれも税抜)を超えません。契約時に払う費用と月額の上限は次のとおりです[3]。

監視のタイプ契約時に払う費用の合計の上限月額の上限
ネットワーク監視50万円1万円
端末監視50万円(端末の数によらない)端末1台あたり2,000円
併用100万円合計1万円以下、かつ端末1台あたり2,000円以下

金額はいずれも税抜です。「契約時に払う費用」は、初期導入費用や実費など、契約のときに一時的に払うものの合計で、月額は含みません。このほか、1類には次の決まりがあります。

  • 端末1台から契約できる
  • 最低契約期間は2年以内
  • 初期費用や契約期間を契約に書く
  • 途中解約の違約金などを契約に書く

契約に書いた中身は、口頭か書面でわかりやすく説明することも求められています。

2類には金額の上限がありません。2類の価格の合計は、「ユーザー概況に照らして相応かつ妥当な額」であることが求められます[3]。ユーザー概況とは、業種や事業の規模、システムの構成など、利用者の事業環境のことです。端末1台から契約できる、最低契約期間は2年以内、といった決まりは2類にもかかります。

例えば、社員10人がそれぞれ1台のパソコンを使う会社が1類の端末監視を選ぶと、月額の上限は2,000円×10台で2万円(税抜)です。2年間の月額の合計は、上限で48万円になります。

実際の価格はサービスごとに違います。のユーザー向けサイトにある監視のタイプ別の「サービス価格一覧表」で、初年度の合計費用・月額・初期費用・最低契約年数を比べられます。このサイトでは、特定の事業者の名前と並ぶため、個々のサービスの価格は載せていません。

補助金は使える?(デジタル化・AI導入補助金)

使えます。デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の「セキュリティ対策推進枠」で、の利用料の最大2年分が補助されます。枠の中身は次のとおりです[6][7]。

項目内容
対象中小企業・小規模事業者等
補助率中小企業は1/2以内、小規模事業者は2/3以内
補助額5万円〜150万円
対象の経費サービス利用料(最大2年分)

小規模事業者は、例えば製造業なら常時使用する従業員が20人以下、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)なら5人以下の会社と個人事業主です[7]。

ただし、ならどれでもよいわけではありません。対象は、のリストに載っているサービスのうち、補助金のIT導入支援事業者が提供し、事務局に登録したサービスだけです[6]。

申請するには、次の条件をすべて満たす必要があります[7]。

  • GビズIDプライムを取っている
  • の一つ星か二つ星を宣言している
  • 労働生産性を年平均1%以上伸ばす3年の計画を作り、実行する
  • 事業場内の最低賃金が地域別最低賃金以上

は、2026年4月から動いている管理システムで宣言したものが必要です。二つ星を宣言していると、審査で加点されます[7]。宣言の手順はSECURITY ACTIONの宣言のやり方で説明しています。

交付決定の前に契約、発注、納品、支払いなどをすると、補助金を受けられません。また、IT導入補助金2022〜2025のいずれかの枠で、を含むITツールの交付決定を受けた会社は、この枠に申請できません。デジタル化・AI導入補助金2026のほかの枠で、を含むツールを申請中か、交付決定を受けた会社も同じです[7]。

次の締切(6次)は2026年10月30日(金)17時で、交付決定は2026年12月10日の予定です。6次で交付決定を受けると、契約から支払い、実績報告までを2027年5月31日17時までに済ませる予定です[6]。7次以降の締切は、事務局のセキュリティ対策推進枠のページの「事業スケジュール」で確かめてください。

例えば、中小企業が、補助の対象になる利用料が2年分で24万円のサービスを入れる場合、補助は1/2以内なので最大12万円です。を要件にしているほかの補助金は、補助金・助成金の一覧にまとめています。

SCS評価制度の★3・★4を支援する新類型とは

新類型とは、中小企業がの★3・★4を効率よく取れるように、診断・助言、ITツールの導入、ITツール以外の支援をワンパッケージで提供し、伴走するサービスです。今は制度としてまだなく、実証事業の段階です。

は、取引先ごとに違うセキュリティの要件を、共通の★で見える化する制度です。★3は26件の要求事項を専門家の確認付きの自己評価で、★4は43件の要求事項を第三者評価で確かめます[8][11]。段階の違いは★の段階と、どれを目指すかで説明しています。

新類型が必要とされるのは、★3の要求事項に、ポリシーを作るなどの組織的な対策が多く含まれるためです。既存のを入れていても、★3の要求事項の一部しか満たせません[10]。既存のが監視や駆け付けの仕組みを用意するのに対し、新類型は★を取るのに足りない対策を一緒に埋めていく支援です。

進め方は、次の3つのステップです[11]。

  1. 課題の見える化: 要件の項目ごとに対策の状況を診断し、足りない項目の対策を改善計画書にまとめる
  2. 対策の実施: ★3・★4に推奨されるITツールを入れ、セキュリティポリシーや手順書の整備、教育など、自力では難しい項目を支援する
  3. ★の申請の支援: 要求事項を満たしているかを確かめ、セキュリティ専門家の確認・評価や申請書作りを支援する

例えば、UTMは入れているものの、セキュリティの方針や事故のときの手順を文書にしていない会社なら、ステップ1の診断でその項目が足りないとわかり、ステップ2で手順書づくりの支援を受ける、という流れになります。

実証に参加すれば無料

新類型の実証には、無料で参加できます。事業者から、実証参加に関する費用を請求されることはありません。無料になるのはの対策の範囲で、実証期間中(最大で1年程度)に限ります[8][10]。

実証期間は2026年10月〜2027年9月の1年間の予定で、実証のあともサービスを続けるなら有償です[10]。が公募で選んだ15の事業者が、参加した中小企業に★3・★4を取るためのサービスを試しに提供し、その結果をもとに新類型の品質や価格の要件が検討されます。実証が始まったときの公表の中身は、お助け隊(新類型)の実証事業の開始で紹介しています。

対象は、サプライチェーンを構成する中小企業等で、の「中小企業等の定義」に当てはまる会社です。例えば製造業・建設業・運輸業なら、資本金3億円以下か、常時使用する従業員300人以下の会社で、個人事業主も含みます。大企業の出資を受けている、いわゆる「みなし大企業」も、資本金か従業員の基準を満たせば対象です[12]。

参加する会社には、制度づくりへの意見の提出や、セキュリティ対策に関する情報の提供(不審な通信を検知したときの情報を含む)への協力が求められる予定です[10]。提供する情報には、シグネチャ(攻撃を見分けるためのパターン)や通信情報などが含まれる場合があります[11]。参加する前に、次の3つを知っておきましょう。

  • 複数の事業者に重ねて参加できない
  • 条件が合わない・予定数に達したときは参加できないことがある
  • サービスの中身や期間、対象の地域・業種、★4まで支援するかは事業者ごとに違う

実証のあと

新類型は、の開始にあわせて基準案が公表され、先行版としてサービスが始まる予定です[8]。の★3・★4の申請の受付は、2027年3月以降に始まる予定です[13]。新類型の制度化は、2028年3月までが目標です[10]。

いずれも予定です。の予定の全体は、これからの予定にまとめています。

既存と新類型、どちらを選ぶ?

既存のは最低限の対策を安く用意するためのサービスで、新類型の実証は★3・★4を取るための支援です。目的が違うため、まず自社が何のために使うのかを決めましょう。2つの違いは次のとおりです[3][6][10]。

既存の(1類)新類型の実証
目的最低限の対策を安く用意するの★3・★4を取る
中身相談窓口・監視・駆け付け・簡易サイバー保険診断と改善計画、ITツール、ポリシー作りや教育、申請の支援
費用有料(上限あり)実証期間中は対策の範囲で無料、続けるなら有償
補助金登録されたサービスなら、セキュリティ対策推進枠を使える―
始め方のサイトでサービスを探し、事業者と契約するの紹介ページの15事業者から1社を選び、直接連絡する
今の状態2021年から続く制度実証事業(2027年9月までの予定)
既存のお助け隊と新類型の実証の違いを左右に並べた図。既存のお助け隊(1類)は、目的が最低限の対策を安く用意すること、中身が相談窓口・監視・駆け付け・簡易保険、費用は有料(上限あり)。新類型の実証は、目的がSCS評価制度の★3・★4を取ること、中身が診断・ITツール・ポリシー作り・申請の支援、費用は実証期間中は無料(対策の範囲で)
既存のお助け隊と新類型の違い

国の説明資料では、新類型は、中小企業が★を取る負担を減らす施策の1つとして、「安価な”★”取得を実現」するものと位置付けられています[11]。

そのうえで、選び方の目安は、次のとおりです。

  • 取引先から★3を求められている、または求められそうなら、新類型の実証を先に調べる
  • まず監視と、何かあったときの駆け付けを安く用意したいなら、既存のを探す
  • 既存のを入れている会社も、★3を求められているなら新類型の実証を調べる

3つ目は、既存のだけでは★3の要求事項の一部しか満たせないためです。取引先から★を求められたときの答え方や進め方は、取引先から★を求められたらで説明しています。

申し込み方

既存のは、のユーザー向けサイトでサービスを探し、提供する事業者に申し込みます。新類型の実証は、の紹介ページで事業者を選び、その事業者に直接連絡します。

既存のの場合は、次の順に進めます[2][7]。

  1. ユーザー向けサイトの「サービス提供事業者一覧」(地域から探す)か「監視種別サービス一覧」(比べる)で候補を探す
  2. 「サービス価格一覧表」で、価格と最低契約年数を比べる
  3. 補助金を使うなら、そのサービスがセキュリティ対策推進枠に登録されているかを事業者に確かめる
  4. 補助金を使うなら、GビズIDプライムとの宣言を用意し、交付決定のあとに契約する

新類型の実証の場合は、の新類型の実証の紹介ページで、15事業者のサービスの対象地域・業種・★の範囲を見比べます。自社に合う1社を選んだら、その事業者に直接連絡して、実証に参加したいと伝えます。取引先から★を求められている場合の最初の一歩は、お助け隊サービス(新類型)の実証を調べるでも紹介しています。

の制度全般についての質問は、のユーザー向けサイトの問い合わせフォームで受け付けています。

中小企業が今日やること

を使うかどうかは、取引先から★を求められているかで分かれます。まず次の3つを確かめましょう。

よくある質問

Q. はがやっているサービスですか?

いいえ。は民間の事業者のサービスで、はサービスの基準を定め、基準を満たしたサービスにマークの使用を認めています。契約の相手は、サービスを提供する事業者です。

Q. 無料ですか?

既存のは有料です。1類には費用の上限があります。新類型の実証は、の対策の範囲で、実証期間中(最大で1年程度)は無料です。

Q. 既存のを入れていれば、★3は取れますか?

既存のだけでは、★3の要求事項の一部しか満たせません。★3には、ポリシーを作るなどの組織的な対策が多く含まれます。

Q. 2類とは何ですか?

1類をもとに、監視の強化や定期的なコンサルティングなどを足した類型です。2類には金額の上限はありません。

Q. 補助金は何回使えますか?

セキュリティ対策推進枠の申請は、1法人・1個人事業主あたり1回です。採択されなかった場合などは、次の締切で申請し直せます。IT導入補助金2022〜2025で、を含むITツールの交付決定を受けていた場合は申請できません。

Q. 個人事業主も使えますか?

補助金は、日本国内に補助事業の実施場所がある個人も対象です。新類型の実証の「中小企業等の定義」にも、個人事業主が入っています。

Q. 実証が終わったらどうなりますか?

実証のあとも同じ事業者のサービスを続けるなら、有償になります。新類型は、の開始にあわせて基準案が公表され、先行版としてサービスが始まる予定です。

出典

  1. サイバーセキュリティお助け隊サービス制度(IPA) 2026年10月1日確認
  2. サイバーセキュリティお助け隊サービス ユーザー向けサイト(IPA) 2026年10月1日確認
  3. サイバーセキュリティお助け隊サービス基準(2.1版)(IPA) 2026年10月1日確認
  4. 「サイバーセキュリティお助け隊サービス2類」について(IPA) 2026年10月1日確認
  5. 「サイバーセキュリティお助け隊サービス」制度に関するFAQ(IPA) 2026年10月1日確認
  6. セキュリティ対策推進枠(デジタル化・AI導入補助金2026)(中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局) 2026年10月1日確認
  7. デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(セキュリティ対策推進枠)(中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局) 2026年10月1日確認
  8. サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)(経済産業省) 2026年9月25日確認
  9. 中小企業向け「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)」実証事業を開始します(経済産業省) 2026年9月25日確認
  10. サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)実証事業(IPA) 2026年10月1日確認
  11. 「お助け隊サービス(新類型)実証」説明資料(IPA) 2026年10月1日確認
  12. 本実証事業における中小企業等の定義(IPA) 2026年10月1日確認
  13. 第3回SCS評価制度運営審議委員会 事務局説明資料(IPA) 2026年9月25日確認

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