セキュリティ対策の補助金・助成金2026|国と自治体の制度と条件

中小企業がセキュリティ対策に使える補助金は、国の「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)」と、都道府県・市区町村の助成金の2つに分かれます。国の補助金には、の利用料を補助する「セキュリティ対策推進枠」と、業務のソフトウェアと一緒にセキュリティのオプションを入れられる「通常枠」があります。

国と自治体の制度を1つの表で比べたうえで、それぞれの条件、自己負担の計算の例、申請から入金までの流れと、申請の前に気をつけることをまとめます。

使える補助金・助成金の一覧

セキュリティ対策に使える主な制度は、国の2つの枠と、自治体の助成金です。自治体の制度は地域ごとに違うため、2026年10月2日時点で公式のページで確かめた3つを例として載せます。ほかの地域は「自分の地域の制度を探す」の方法で探してください。

それぞれの補助率・上限・主な条件・受付は次のとおりです[1][2][3][4][8][9][10]。

制度何に使える補助率・上限主な条件受付
国: セキュリティ対策推進枠の利用料(最大2年分)中小企業1/2以内、小規模事業者2/3以内。5万〜150万円GビズIDプライム、(一つ星か二つ星)6次の締切は2026年10月30日
国: 通常枠業務のソフトウェアと一緒に入れるセキュリティのオプション(最大1年分)1/2以内(条件により2/3以内)。1プロセス以上で5万〜150万円未満推進枠と同じ6次の締切は2026年10月30日
東京都(東京都中小企業振興公社)UTM・EDRなどの機器やクラウドの利用、標的型メール訓練1/2以内。上限500万円・下限10万円二つ星、都内で実質1年以上の事業第3回は2027年1月8日〜15日の予定
山口県セキュリティの機器設備費・委託費など1/2以内。上限50万円県内に事業所がある中小企業者2026年12月25日まで随時(予算に達したら終了)
豊田市(愛知県)外部の専門機関によるセキュリティ診断2分の1。限度30万円市内に主たる事業所、通算1回2027年2月28日まで(予算に達したら早く終わることも)

補助金ではありませんが、の★3・★4を取るための支援を無料で受けられる「(新類型)の実証」もあります。期間は最大1年程度で、中身や期間は事業者ごとに違い、予定数に達していると参加できないこともあります[11]。参加のしかたは新類型の実証に参加すれば無料で説明しています。

国の補助金: デジタル化・AI導入補助金

国の補助金で使えるのは、デジタル化・AI導入補助金のうち「セキュリティ対策推進枠」と「通常枠」の2つです。どちらも、事務局に登録した「IT導入支援事業者」(ITツールを提供し、申請を一緒に進める会社)と一緒に申請し、事務局に登録されたITツールだけが補助の対象になります。

セキュリティ対策推進枠: お助け隊の利用料

推進枠は、の利用料を補助する枠です。対象は、の「リスト」に載っているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し、事務局に登録されたものだけです。補助率は中小企業が1/2以内、小規模事業者が2/3以内で、補助額は5万〜150万円、対象は利用料の最大2年分です[1]。

小規模事業者かどうかは、常時使用する従業員の数で決まり、例えば次のとおりです。

  • 製造業その他: 20人以下
  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く): 5人以下
  • 宿泊業・娯楽業: 20人以下

は、相談窓口、異常の監視、事故のときの駆け付け、簡易サイバー保険を1つにまとめた民間のサービスです。基本の「1類」には月額の上限があり、ネットワーク監視は月1万円、端末監視は端末1台あたり月2,000円(いずれも税抜)までです[14]。詳しくはの記事の費用の上限で説明しています。

この枠に申請できるのは1法人・1個人事業主あたり1回で、不採択なら次の締切に申請し直せます。を含むITツールで、IT導入補助金2022〜2025のいずれかの枠で交付決定を受けた会社や、2026年のほかの枠(通常枠など)でを含むITツールを申請中・交付決定済みの会社も、推進枠には申請できません[2]。推進枠の注意はお助け隊の補助金にもまとめています。

通常枠: 業務のソフトウェアと一緒にセキュリティのオプション

通常枠は、業務を効率化するソフトウェアを入れるための枠です。セキュリティは「オプション」の扱いで、業務プロセスを持つソフトウェアと一緒に申請する場合だけ対象になり、補助されるのは最大1年分です。セキュリティの製品だけを通常枠で申請することはできません。

補助率は1/2以内で、地域別最低賃金にかかわる条件に当てはまれば2/3以内です。補助額は、1プロセス以上で5万〜150万円未満、4プロセス以上で150万〜450万円以下です[3]。

審査では「セキュリティ対策を進めているか」「国の推進するセキュリティサービスを選定しているか」も見られ、を選ぶと加点になります。例えば、販売管理のクラウドを入れる会社が、同じ申請でセキュリティのオプションを足す、という使い方です。

通常枠と推進枠は、同じ期間に両方へ申請できます。ただし、同じ経費の二重計上など、不適切な行為や不正が疑われる場合は、交付決定の取消しと補助金の全額返還を求められることがあります。特にオプションは二重計上になりやすいため、IT導入支援事業者とよく確かめてからツールを選びます。また、を含むITツールは2026年のどれか1つの枠でしか申請できず、IT導入補助金2022〜2025での交付決定を受けた会社は、推進枠でも通常枠でもを申請できません[2][4]。

国の補助金に共通する条件

国の2つの枠に申請するには、主に次の条件をそろえます。は、2026年4月から運用している管理システムで宣言していることが条件です。事業計画の労働生産性の目標は、推進枠が年平均成長率1%以上、通常枠が1年後に3%以上・年平均3%以上などと、枠で違います[2][4]。

  • GビズIDプライムを取っている
  • の一つ星か二つ星を宣言
  • 3年間の事業計画を作り、実行する
  • 事業場内の最低賃金が地域別最低賃金以上

賃上げの条件が加わる場合もあります。IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた会社は、1人当たりの給与を年平均3.5%以上上げる計画を従業員に示し、実行することも条件です(医療・介護など一部の事業者を除く)。達成できないと、補助金の返還を求められることがあります。通常枠で150万円以上を申請する場合にも、賃上げの条件があります[2][4]。

推進枠では、二つ星の宣言が審査の加点になります。宣言がまだなら、宣言のやり方の手順で進めましょう。

自治体の助成金

都道府県・市区町村や、その支援機関が、独自にセキュリティ対策の補助金・助成金を出していることがあります。中身は「機器・サービスの導入」と「診断」などに分かれ、地域ごと・年ごとに違います。ここでは、2026年10月2日時点で公式のページで確かめた3つの例を紹介します。

東京都: サイバーセキュリティ対策促進助成金

東京都中小企業振興公社の助成金は、都内の中小企業者・個人事業主などが、セキュリティの機器やクラウドを入れる費用を助成します。条件は、の二つ星を宣言し、自社のホームページなどで確かめられることと、都内で実質1年以上事業をしていることです。

対象は、UTM(統合型の防御機器)、ファイアウォール・VPN、ウイルス対策・EDR、アクセス管理、ログ管理、暗号化、サーバーOSなどの機器・クラウドの利用と、標的型メール訓練です。助成率は1/2以内、上限500万円・下限10万円で、標的型メール訓練だけなら上限は50万円です。パソコン・スマートフォンなど汎用性の高い機器、セキュリティ診断やコンサルティングの費用、リース・割賦、期限切れに伴う同じ機器への更新は対象外です[8]。

審査では、機器の数量やスペックが企業規模に見合うか、市場価格と大きく離れていないかも見られます。自社の主な事業から見て当然備えるべき対策だと判断されると不採択になり、以前にこの助成金を受けた会社は申請できません。

受付は年3回で、第2回は終了しています。第3回の受付は2027年1月8日〜15日、交付決定は2027年3月下旬、助成の対象になる期間は2027年4月1日〜7月31日の予定です。申請は国の電子申請システム「Jグランツ」で行い、GビズIDプライムが要ります[7]。最新の募集は、公社の助成金のページで確かめてください。

二つ星を宣言するには、情報セキュリティの基本方針を作って公開しておく必要があります。作り方は二つ星: 基本方針を作って公開するで説明しています。

山口県・豊田市の例

山口県の「サイバーセキュリティ対策促進補助金」は、県内に事業所がある中小企業者(農業・林業・漁業を除く)が対象です。セキュリティの機器設備費や委託費などに1/2以内・上限50万円を補助し、募集は30社程度です。受付は2026年12月25日までの随時で、予算の上限に達した時点で終わります。事業の期間は2027年1月末までです[9]。

愛知県豊田市の「経営力強化支援補助金」には、サイバーセキュリティ診断事業があります。市内に主たる事業所がある中小企業(個人は市内に住所と事業所があること)が、外部の専門機関の診断を受ける費用(診断の費用や委託費。顧問料などは除く)に2分の1・限度30万円を補助し、申請は通算1回だけです。受付は2027年2月28日までで、予算の上限に達したら終わることがあります[10]。

東京都と山口県は「機器の導入」型、豊田市は「診断」型です。同じ「セキュリティの補助金」でも、何にお金が出るかは制度ごとに大きく違います。

自分の地域の制度を探す

自分の地域の制度は、中小機構のJ-Net21にある「支援情報ヘッドライン」で探せます。支援制度で「補助金・助成金、委託費」を選んで地域や利用目的で絞り込み、フリーワード検索も使えます。ただし、すべての支援策が載っているわけではないため、「地元の市区町村などの情報」から自治体のページも確かめます[12]。

を条件や加点にしている補助金・助成金は、の一覧にも載っています。が確認した範囲のもので、リアルタイムの更新ではありません。中身は要件にしている補助金・助成金で紹介しています。

支援情報ヘッドラインでは、フリーワードに「セキュリティ」と入れてみましょう。の一覧には「DX」「デジタル化」と付く補助金も載っているので、これらの言葉でも探すと見落としが減ります。

いくら自己負担になる?計算の例

多くの補助金は後払いで、事業にかかる費用の全額を、先に自社で払う必要があります。東京都の助成金も、事業の完了を公社が確かめた後に支払われ、検査の結果、交付予定額より減ることがあります。推進枠も、実績報告の後に補助金の額が確定してから交付されます[2][8][13]。

消費税は、通常枠と東京都の助成金では補助の対象外で、豊田市も対象の経費を税抜きで計算します[4][8][10]。

例えば、次のような場合の自己負担はこうなります。

例補助の対象になる費用補助の最大額自己負担
中小企業が推進枠で、月2万円の端末監視(10台)を2年使う48万円24万円(1/2)24万円以上
上と同じ条件で、小規模事業者の場合48万円32万円(2/3)16万円以上
東京都の会社が、UTMとEDRに200万円(税抜)をかける200万円100万円(1/2)100万円以上と消費税
山口県の会社が、セキュリティの機器に80万円をかける80万円40万円(1/2)40万円以上

東京都の例では、200万円と消費税を先に全額払い、助成金の100万円(最大)は後から入ります。山口県の例で費用が120万円なら、半分の60万円が上限を超えるため、補助は最大50万円です。予算を組むときは、補助の額より先に「先に払う全額」を用意できるかを確かめましょう。

申請から入金までの流れ

推進枠の場合、申請から入金までは次の流れで進みます。

  1. GビズIDプライムを取り、を宣言する
  2. IT導入支援事業者とサービスを選び、見積りを取る(契約はしない)
  3. 事業者から「申請マイページ」に招待され、一緒に交付申請を作って出す
  4. 交付決定を受ける
  5. 契約・導入・支払いをする
  6. 実績報告を出す
  7. 補助金の額が確定し、入金される
  8. 導入後に効果報告を出す
セキュリティ対策推進枠の申請から入金までの流れの図。1 GビズIDプライムとSECURITY ACTIONを用意、2 見積りを取る(契約はしない)、3 交付申請、4 交付決定、5 契約・導入・支払い(費用は先に全額払う)、6 実績報告、7 補助金の入金。交付決定の前に契約しないことを強調している
申請から入金までの流れ(セキュリティ対策推進枠)

GビズIDプライムの発行には2〜3週間かかることがあります[7]。まだ持っていなければ、締切から逆算して早めに申し込みましょう。

6次の締切に申請すると、交付決定は2026年12月10日、事業の実施と実績報告の期限は2027年5月31日17時の予定です。7次以降の日程は、事務局の推進枠のページで確かめてください。支払いは原則として銀行振込かクレジットカードの1回払いで、現金は認められません[1][2]。

申請の前に気をつけること

いちばん大事なのは、交付決定の前に契約・発注しないことです。推進枠では、交付決定の前に契約・発注したITツールは補助の対象になりません。東京都も交付決定の前に発注・契約・設置したものは対象外で、豊田市も事業を始める前(原則30日前まで)に申請する必要があります[2][8][10]。

補助金は、申請すれば必ずもらえるものではありません。採択の件数や金額が決まっているものが多く、審査で落ちることがあります[13]。東京都の助成金にも審査があります。

ほかの補助金と重ねて受けられない制度もあります。東京都は、同じ内容(経費)で国・都道府県・区市町村などから助成や補助を受けていないことが条件で、豊田市も同じ事業で国・県などから補助を受けていると申請できません[8][10]。

1回しか使えない制度が多いことにも注意が必要です。推進枠は1法人・1個人事業主あたり1回、東京都は以前に受けた会社は申請できず、豊田市の診断は通算1回です。

営業の話にも気をつけましょう。東京都中小企業振興公社は、「一部業者が、自社製品や工事等が当該助成金の対象になると謳っているようですが、当公社として個別に認めているものではありませんので、十分ご注意ください。」と注意を呼びかけています[8]。

「補助金で半額になります」と案内されたら、どの制度のどの枠か、交付決定の前に契約を求められていないかを聞きましょう。対象になるかどうかは、募集要項を読み、事務局や公社に確かめると確実です。

中小企業が今日やること

よくある質問

補助金と助成金は何が違いますか?

どちらも公的な資金から出るお金で、申請や審査が要ります。「助成金」は要件を満たせば受け取れる可能性が高く、「補助金」は採択の件数や金額が決まっているものが多い、という違いがあります。ただし、2つの言葉は必ずしも明確に区別されていません[13]。名前ではなく、募集要項で審査があるかを確かめましょう。

パソコンの購入に使えますか?

東京都の助成金では、パソコンは汎用性が高いため対象外です。推進枠の対象はのサービス利用料、通常枠の対象はソフトウェアやクラウドの利用料などで、どちらもパソコンを買う費用の補助ではありません。

推進枠と東京都の助成金を両方使えますか?

東京都の助成金は、同じ内容(経費)で国などの補助を受けていないことが条件です。別の経費として扱えるかは、申請の前に公社に確かめましょう。

個人事業主も使えますか?

推進枠・東京都の助成金・豊田市の補助金は、いずれも個人事業主も対象に含みます。ほかの制度は、それぞれの募集要項で確かめてください。

SCS評価制度の★を取る費用に使える補助金はありますか?

★3(事業者によっては★4)を取るための支援は、(新類型)の実証に参加できれば、実証期間中は無料で受けられます。実証のあともサービスを続けるなら有償です。実証期間は2026年10月〜2027年9月の予定です[11]。参加のしかたは新類型の実証、★を取る費用の全体はの総合解説の費用で説明しています。取引先から★を求められている場合は、取引先からSCS評価制度の★を求められたらも読んでください。

出典

  1. セキュリティ対策推進枠(デジタル化・AI導入補助金2026)(中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局) 2026年10月2日確認
  2. デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(セキュリティ対策推進枠)(中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局) 2026年10月2日確認
  3. 通常枠(デジタル化・AI導入補助金2026)(中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局) 2026年10月2日確認
  4. デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)(中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局) 2026年10月2日確認
  5. 事業スケジュール(デジタル化・AI導入補助金2026)(中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局) 2026年10月2日確認
  6. SECURITY ACTIONを申請・加点要件としている補助金・助成金等の一覧(IPA) 2026年10月2日確認
  7. サイバーセキュリティ対策促進助成金(東京都中小企業振興公社) 2026年10月2日確認
  8. 令和8年度 サイバーセキュリティ対策促進助成金 募集要項(第2回募集)(東京都中小企業振興公社) 2026年10月2日確認
  9. 令和8年度「サイバーセキュリティ対策促進補助金」の募集について(山口県) 2026年10月2日確認
  10. 令和8年度 豊田市経営力強化支援補助金(豊田市) 2026年10月2日確認
  11. サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)実証事業(IPA) 2026年10月1日確認
  12. 自社に合う補助金を見つけるには、どうすればよいですか?(J-Net21(中小企業基盤整備機構)) 2026年10月2日確認
  13. 補助金・助成金の違いや補助金活用における注意点について教えてください。(J-Net21(中小企業基盤整備機構)) 2026年10月2日確認
  14. サイバーセキュリティお助け隊サービス基準(2.1版)(IPA) 2026年10月1日確認

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